お店の観葉植物をよく枯らしてしまう人の為の植物との付き合い方
このタイトルを見て、たぶん、「は?なんだそりゃ?」と、思われたと思います。
なので、前文として、これを書いた経緯をご説明いたしましょう。
もともとこの文章は、2015年、私が所属している写真館の業界団体が、毎月発行している会報誌に掲載するために書かれたものです。
全国の各エリアが順番に各地の情報を発信していく企画があり、次回は東北の担当ということで、岩手県でも会員数人がピックアップされ、ひとり1ページという割り当てで、原稿依頼があったわけです。
「内容は自由」とのことでした。
「本当に何を書いてもいいんですか?」と、しつこく確認したのですが、「なんでもいい」ということだったので、私ひとりぐらいは、写真の仕事以外のことで全国の会員さんに役立つ情報を書いても面白いのではないか、と考えました。
そういえば、お客様から、うちのお店に置いてある観葉植物をほめらたり、世話の仕方を質問されたりすることがけっこうありますので、世の中には植物を世話するコツがわからず苦労してる人が多いのでは、という印象を前々から抱いていました。
お店のインテリアとして観葉植物を置いている会員の方も多いだろう。
中には基本をよく理解しないまま、植物の扱いに困っている人も多いのでは?という予測のもと、以前は植物に全く無関心だった私が、開店祝いにいただいた観葉植物を世話する必要に迫られてしかたなく勉強し始め、日々試行錯誤しながら良い結果を出している、私なりの育てかたのかんたんなコツをシェアできれば、と僭越ながら思ったわけです。
ところが、いざ書き始めたところ、いつものように、ほとばしる情熱が大暴走。
「このままではたぶん1ページには収まりそうにない」といういやな予感がしたので、担当の方に最大1ページに何文字程度まで掲載可能なのかを確認したところ、意外にもその辺り、けっこう曖昧な様子。しつこく聞いてみましたが、「とにかく1ページ分に収まればいいから、適当に」という、非常にアバウトなご返答。
と言われても、こまったな。
どうする?俺。
内容を削った方がいいか?
いや、だめだ。それでは記事の内容が、薄いカルピスみたいになってしまう。
文字を限界まで小さくレイアウトしてもらえば、なんとか1ページに収まるだろう。
もし俺が読者なら、文字は見やすいが内容が薄っぺらい記事よりも、字が小さくて多少見えにくくても、中身のぎっちり詰まった濃い記事を選ぶだろう。カルピスも濃い方が断然うまい。
おそらく矢沢永吉ならこう言ってくれるはずだ。
「やっちゃえ!NISSAN」
以上のようなオリジナリティ溢れる勝手な決断を下した後、フルパワーで原稿を書き上げ、締め切りも厳守し、無事提出。
しかし、案の定「1ページではまったく収まらん、これでは数ページになってしまう、もっと短くせよ」というダメ出しが。(涙目)
そこで、泣く泣く断腸の思いで内容を大幅に削り再提出して、やっと掲載していただいた、という、ハタ迷惑な珍事を引き起こしてしまいました。
(しかも掲載時、1ページ増量してもらっていた)
認めたくないものだな。若さゆえの過ちというものを…。
担当の方にはまことに申し訳なく思っております。
しかし、渾身のオリジナル原稿がこのまま陽の目をみないのはしのびなく、ここに、ノーカット完全版、フルバージョンの全文を掲載する運びとなりました。
植物も立派な生物です。とくに、手をかけた分だけ必ず応えてくれるところがいい。
時間感覚の基準が我々動物とはまったく違うので、お世話の成果が目に見えるまでにちょっと時間がかかりますが、そこもまた、植物の「スローライフ的」な魅力のひとつです。
かなり長い内容なので、おそらくスマホで読むのはかなりたいへんかと思います。
が、あなたがもし観葉植物の育て方にいまいち自信が持てず、かつ、興味がお有りでしたら、ちょっとがまんして読んでみてください。
きっと人生が変わる…ことはないと思いますが、あなたの植物にとっては、もしかすると救いとなるかもしれません。
お店の観葉植物をよく枯らしてしまう人の為の植物との付き合い方
はじめに
お店のインテリアとして観葉植物を置かれている方も多いと思いますが、その植物たちは元気に成長していますか?
たとえ小さい観葉植物がひとつ置いてあるだけでも、イキイキと育っている植物からはオーナーやスタッフの人柄が伝わり、お客様も親しみやすい良い印象をお店にもってくれるものです。
が、状態の良くない植物が平気で放置されているような場合には、お店に対してネガティブな印象を与えかねません。
観葉植物は、素敵なインテリアであると同時に、世話に若干のコツと手間が必要という点で、お店にとって諸刃の剣的なリスクもはらんだ重要アイテムだと思います。
観葉植物は、ただの飾りとしてだけでなく、小さい子と打ち解けるキッカケづくりに葉っぱや実を触らせてあげたりとか、撮影の小物に使ったりなど、なかなかの活躍をみせてくれています。
たまに、乱暴な子供に葉っぱをむしられたりした時には、コメカミに血管ピクピク状態になりますが、うちでは植物もスタッフの一員。
農耕馬や番犬などの頼もしい使役動物と同じように、彼らもプロとして、体を張って子供の猛攻に堪えてくれています。
私は以前まで、植物には全く興味がない人間でした。
今でも特にガーデニングが趣味というわけではなく、もちろん専門家でもありません。
仕事上の必要に迫られ、最低限の手間とコストで、お店の観葉植物をメンテする方法はないものかと都合の良いことを考えているごく普通の一般人です。しかもかなりの面倒くさがり屋です。
書籍やネットの情報は、簡単すぎて説明不足か、マニアックすぎて面倒くさいかの両極端で、私のような「必要十分・無駄不要系」向けの都合のいい情報は、ほとんどないのが現状です。
観葉植物を買ってきては、いつのまにか枯らしてしまう。
植物の調子がなぜかいつも悪い。
そういう方のために、できるだけ簡単、ローコストでお店の植物をイキイキにする、私なりにこの数年間試行錯誤してきた経験則を、独断と偏見を恐れず僭越ながらご紹介させていただきます。
やってはいけないことは、「水のやり過ぎ」と「肥料の与え過ぎ」
ある書物によると、「植物を枯らす最大の原因その1」は、水のやり過ぎだそうです。
水のやり過ぎで土の水分が過多な場合、根っこが窒息し、植物が弱ってきます。
もちろん、水をやらなさ過ぎても干からびて枯れますが、「足りないぐらいが丁度良い」という言葉通り、やや乾燥気味に育てたほうが丈夫な根を張り頑健に育つようで、私もそうしています。
「植物を枯らす最大の原因その2」は、肥料のやり過ぎです。
肥料分が過多な場合、根っこが脱水症状になり、これも植物を弱らせます。
「調子が悪い植物に肥料を与えると元気になる」というのは大きな勘違いです。
具合の悪い時に無理やりステーキとうなぎを大量に食べ続けさせられるようなもので、これはもはや悪夢の世界でありまして、かえって体調をどんどん崩していくことになります。
以上のことから、我々が観葉植物を枯らしてしまう典型的なパターンは、
1:心配のあまりついつい水を頻繁に与えてしまい、
2:調子が悪くなったところに勘違いして肥料を与えて追い討ちをかけ、
3:ダブルパンチでノックアウト。
ということが多いと思われます。
「与えすぎてダメにする」なんて、なんか、我々現代人にとって耳の痛い言葉でありますね。
いきなり結論
じゃあ、どうしたらいいのか。
結論から申し上げますと、話はじつに簡単です。
1・育てやすい植物を選ぶこと。
2・「赤玉土7:腐葉土3+マグアンプK(肥料)」の土に植え替えること。
これですべてOKです。
以下、順を追ってくわしくご説明します。
が、その前に注意事項を。
お持ちの植物になんら問題がない場合、そのまま何も変えずに、今までのやり方でお育てください。
また、このやり方はほとんどの植物にOKですが、ランの種類には向きません。
1.育てやすい植物を選ぶこと。(タフで適応力のある種類を選び、植物に助けてもらう)
お店の観葉植物は、園芸的にNGの場所に置かざるを得ないことも多いものです。
なので、日当たりの悪さ、エアコン風直撃、連休中の放置など多少の逆境にはめげない、もともとタフで適応性のある植物を選び、彼らの強さに助けてもらいましょう。
これ重要です。
今のところうちで結果を出しているのが「ベンジャミン」と「パキラ」です。
こやつらは日陰に強く、寒さにも強く、最低室温が5度ぐらいなら冬越しできるそうです。
(うちの実家はもっと寒くなるはずですが、そこでもパキラは元気に育っています)
さらに寒くなる部屋なら、0度まで耐えるといわれる「シェフレラ」という種類もあるらしいです。
うちでは育てたことはありませんが、たぶん厳冬期は0度近くまで下がるだろうなと思われる知人宅の窓際で元気に育っていますからこのスペックは信頼できると思われます。
他にもネットで調べれば「育てやすい観葉植物」はいくつかあります。
地域ごとの気候との相性もあると思いますので、お好みで選んで試してみるのが良いと思います。
いずれにせよ、飼い主サイドでコントロールが難しい「日当たり」「気温」「風通し」は植物にがんばって適応してもらい(だいたい半年でその場所に適応するそうです)、飼い主は「正しい水やり」をすることにのみ集中するというシンプルな方法がベストです。
もし、すでにお持ちの調子が良くない植物が、タフな品種でない場合、また、なんの品種かわからない場合でも、あきらめるまえにその植物の生命力にかけてみましょう。
植え替えと正しい水やりで劇的に蘇ることもよくあることです。
2.「赤玉土7:腐葉土3+マグアンプK(肥料)」の土に植え替ること。
買ってきたままの土では非常に管理しにくいので、新しい土に植え替えます。
ちょっとした手間ですが、これが今回の最大のキモになります。
なぜわざわざこの土に植え替えなければならないのか。
理由は2つです。
理由1:正しい「水やりのタイミング」がわかりやすい土になるから。
買ってきたままの鉢の土は、乾燥具合が見た目でわかりにくい土が多いようです。
いつ水をやっていいのか判断しづらいので、不安からついつい水をやりすぎる原因になっていると思われます。
この土のブレンドは、土の乾燥状態が見てすぐわかり、水やりのタイミングをつかみやすく、しかも水はけと保水のバランスが理想的なことが特徴です。
しかも価格も安く、入手が容易です。
理由2:肥料のことを心配しなくていい土だから。
この土は初めから「マグアンプK(大粒)」という質の良い肥料を適量入れるので、約2年間、肥料的にはメンテフリー。
肥料のことをあれこれ心配しなくていいというのは気分がすごくらくちんなのです。
活力剤なども、もちろん使いません。
この土に植え替えれば、植物を枯らす2大原因である「水やり」と「肥料」の問題を一挙に解決し、植物本来の生きる力を最大限発揮させてくれます。
水と肥料は過不足なく与え、あとは植物がその場の環境に適応していく作業の邪魔をしないこと。
これがキモです。
もしこの方法をお試しになる場合は、くれぐれも5中旬月~9月の間になさってください。この期間は植え替えの適正期です。
ベストは6月で、寒い時期はNGです。
もしみなさまがこれをお読みになった時が適正期でなかった場合は、この時期になるのを待ってから植え替えて下さい。
新しく買う場合もこの時期に購入するようにし、買ってきたら植物が一旦落ち着いてしまう前に速攻で植え替えてしまいましょう。
購入直後の植え替え方法(適正時期の5月中旬~9月を厳守)
用意するもの(安価で、たぶんどこのホームセンターでも売っている材料です)
- ひとまわり大きい植木鉢(素焼き鉢は室内ではカビが生えやすく重いのでプラ製がオススメ)
- 赤玉土(小粒)と腐葉土、マグアンプK(大粒)という固形肥料
- 鉢底石、鉢底ネット、鉢皿
- バケツ、土を計るカップ(切ったペットボトルで可)、移植ゴテ、わりばし、ブルーシート
注意:赤玉土は「小粒」、マグアンプKは「大粒」のサイズを選んで下さい。
植え替えの仕方(作業はブルーシートの上でやると周りを汚さず、後片付けも簡単です)
その1
新しい鉢底の穴の上に、適当なサイズにカットした鉢底ネットを置きます。
その2
その上に鉢底石を敷きます。(鉢底が見えなくなる程度に)
その3
以前の鉢から植物を引っこ抜きます。
土が乾燥している時が抜きやすいです。
割れない程度に鉢を叩くと抜けやすくなります。
底の方に鉢底石が付いていたら取り除き、根っこを少しほぐし、根付きやすくします。
その4
新しい鉢の中にとりあえず入れてみて、補充する土の分量をだいたい予測します。
土の量は鉢の縁から土表面まで2~4センチの空間が開くぐらいが適当。(水が溜まる水しろ。目安は直径20センチ位の鉢で2センチ前後、35センチくらいで4センチ前後)
その5
補充する土を、赤玉土7:腐葉土3の割合でバケツに入れ、次に、マグアンプKを規定量(土1Lに対し小さじすりきり1杯を厳守)を入れよく混ぜます。
(注意!赤玉土の袋の底に溜まった粉状の土は絶対に使用しないでください。目詰まりの原因になります。できればフルイで事前に除去するのがベターです)
その6
あたらしい鉢の鉢底石の上にすこしづつ土を入れ、植物を置いてみて高さを調整します。
根元をすこし周囲より高くなるようにしてください。
根元を新しい土に埋め込まないことが安定した根張りをさせるコツです。
その7
高さが決まったら、植物を中央に置き、垂直を確認しつつ、まわりの隙間に土を入れていきます。
軽く指やわりばしで土を詰めた後、鉢をごく軽くトントンと持ち上げ土を締めます。
その8
じょうろなどで優しく、かつ大量に水をかけます。
鉢の底から水がドバドバ流れ出てきたら成功です。
出てこなければ最初からやり直します。
流れ出てくる泥水が、ほぼ澄んでくるまで水をかけ続けます。
以上で植え替えは完了です。
その9
鉢皿の上に置いて、飾ります。養生のため10日程度は直射日光に当てることは避けてください。もちろん肥料や活力剤は絶対に与えないでください。
日常の世話
「土の表面が完全に乾いてから、たっぷりと水をあげる」これだけです。
その1
土の表面が乾いたら赤玉土の色が白くなります。
指ですこし土をほじってみてください。(深さ約1センチ)
そこがまだ湿って茶色のままだったらまだ水やりのタイミングではありません。
半日か1日後にまたチェックしてみてください。
1センチ程深さまで白く乾くまで待って水やりをします。
迷った時は、やらない方を選んでください。
ここが最大のキモです。
その2
鉢の下から水が出てくるまでたっぷり水をかけます。
根の先端に水が到達することをイメージし、水は鉢のふちに沿ってかけます。
根元に水をかける必要はありません。
適正量がわかるまでは数回に分けてゆっくり回しかけたほうが、鉢皿から水が溢れなくて済みます。
冬季の水道水は冷たすぎるので、常に水差しに水を満タンにしておき、室温になった水を与えます。
その3
鉢皿に溜まった水は根腐れの原因になるので必ず捨てます。
1枚余分に鉢皿があると、いったん鉢をそれに移してから水を捨てれるので便利です。
小さい鉢は水やり直後に1回すてればOKですが、すてた後も鉢皿に大量に水が溜まる場合は、しばらくして水が落ちきった頃を見計らい、もう1度捨てます。
皿の底に少し残る程度ならOKです。
その4
その後は、「表面が完全に乾いたら」たっぷり水やり。
これだけです。
目安は夏なら毎日~2日おき、冬なら3~5日おきぐらいでしょうか。
その5
もし水やり忘れた場合でも、表面が乾燥してから1~2日の間でしたら致命傷にはなりません。
鉢の中はまだ案外湿っているものです。
うちのパキラなどは、葉っぱがグッタリ垂れ下がってから慌てて水をやっても大丈夫でした。むしろ時々水不足でびっくりさせた方が、水を求めて太く強い根を張るそうです。
植物と相談しながら、いい塩梅を加減してやてください。
その6
土が乾ききっていないうちに、ちびちび水やりをするやり方は「ちょろ水」といって、良くない水やりの典型です。
土の表面が乾いてからたっぷりと。
これが正しい水やりです。
その7
液体肥料、活力剤は2年間原則不要です。
2年経ってマグアンプKの効果が切れた後で、まだ植え替えの必要がなさそうな場合(鉢底の穴からまだ根がはみ出してこない)のみ、春と秋にだけ、控えめに(量と回数は規定の半分)使用します。
この前肥料やったのいつだったっけ?
ぐらいの頻度で丁度いいようです。
その8
トビムシという白い小さい虫が土にわくと思いますが、この手の生物は土にとって有益な存在です。基本的に植物と人間には無害ですのでけして殺虫剤等で駆除しないでください。
その9
この方法で育てている植物は健康で強いので、害虫はほとんどつきません。
なので殺虫剤の散布は基本的に不要です。
臭いしエコじゃないし。
ただし、万が一アブラムシやカイガラムシがついた時は、躊躇せず、冷徹に園芸用の殺虫剤を使用するのが合理的です。
過去に「薄めた牛乳」等、無農薬での対処法を試しましたが、効果が感じられませんでした。
速やかに、「全弾射出、焼き尽くせ!」ぐらいの勢いで、容赦なく殲滅してください。
害虫駆除の詳細はネット等で調べてください。
殺虫剤使用時のキモは3つ。
ひとつ、用法と希釈率の厳守。必ず計量カップ等で正確に計って下さい。
ふたつ、1週間後にもう一度散布し生き残りにトドメをさすこと。
みっつ、常用は避ける。が、いざ使用の時は短期決戦で徹底的に散布し、根絶させる。
以上です。
大きくなりすぎたら
ベンジャミン編
葉っぱがあまりに茂りすぎたら、散髪するように好みの形にハサミでカットしてください。
根っこが鉢底の穴からはみ出してきて、なんとなく覇気がなくなってきたら、(だいたい2年後ぐらい)、根っこが詰まり窒息ぎみになった証拠、植え替えのサインです。
面倒でもまた植え替えて下さい。植え替えないとこの先本格的に弱ってきます。
ただし植え替えは、かならず5月中旬~9月の間に行い、時期を逸した場合は、翌シーズンまで待ちます。
もっと大きくしたい場合は、ひとまわり大きい鉢に植え替えます。
そのままの大きさをキープしたい場合は、同じ鉢を使いますが、その場合、ずぼっと抜いた根を土ごと外側から半径の1/3程度、高さも下から1/3同程度ハサミでばっさり切って、切った分の新しい土を補充し、元の鉢に植えて下さい。
根元をすこし周囲より高くすることを忘れずに。初めて根っこをカットするときは、枯れてしまうのではないかと、ちょっと心配になるものですが、思い切ってバッサリやってください。
じつは、ここ数年調子が悪く、2年以上植え替えを控えていたベンジャミンがあったのですが、今年の6月に、思い切って植え替えを敢行したところ、根土の下部にかなり大きいコブを発見しました。
これを切ると根っこが半分ぐらいになってしまうし、かといって残すと他に切る部分がない程の大さでしたので迷いましたが、覚悟を決めてズバッと切断しました。
しかし、植え替え後の翌日から葉が落ち始め、ガビーン、切らない方がよかったか?
と激しく後悔しました。
ところが、数日後、落葉が止まったかと思ったら、白く太い根を土の表面にまで出しはじめ、でかいピンピンした葉っぱがモリモリ生えてきて、以前とは別人のごとく元気な木になりました。
根っこのでかいコブが今までの不調の原因だったようです。
植物のデリケートさと逞しさの両面を学べた貴重な体験でした。
パキラ編
根っこはあまり伸びませんが、背丈がどんどん伸びます。
あまり伸びすぎると天井につっかえたり、頭でっかちになって倒れたりしますので、そうなる前に先端をカットします。
ただし、美的な面で、パキラは切る場所の見極めが難しいです。
基本的には、ほぼどこで切っても茎から新しい芽がでてきますが、ヤシの木みたいに先端にしか葉っぱがない植物なので、葉っぱを残して切ろうとするとほとんど背丈を縮めることはできず、かといって、もっと下で切るとただの切り株になってしまいます。
そうなる前にこまめに葉を数枚残して先端をカットするのがいいと思いますが、いずれにしろ、この「切り口丸見え」を回避するコツは、数本ある茎のうち、一番高い茎を、近くの葉にかくれる位置で切るいいと思います。
終わりに
もともと丈夫な種類の植物を、正しい水やりのできる土で育てれば、手がかからず、病気や害虫にも強い植物に育ちます。
「植物イキイキ→お世話も楽しい→お客さんに褒められる→調子にのる→さらにお世話楽しい→さらに植物イキイキ」という上昇スパイラルに乗ることができます。
「心を亡くすと書いて、忙しい」という言葉がささやかれるこの時代に、私たち写真館の経営者にとっても、お客様にとっても、ほんの一瞬でも心が癒され豊かになる瞬間が、元気に育った愛すべき観葉植物達によって少しでも多くなることを願いつつ、私は今日も水やりに精を出すのであります。