プロジェクト01

淡水フグ「うきち」

アフリカ産淡水フグ(テトラオドン・ミウルス)飼育の研究

うきち Ukichi


テトラオドン・ミウルス(ナイルフグ)
学名:Tetraodon miurus
アフリカ原産。コンゴ川流域などに分布。淡水性。全長15cm程度。ちなみに、ナイルフグと言うが実際はナイル川には生息していないため、学名の「テトラオドン・ミウルス」で呼ばれることも多い。砂に潜ることを好み、体色は赤みがかった茶色が一般的であるが、個体によって灰色や黒褐色などのバリエーションがある。
2009年4月21日に研究所にやってきた。当時、体長約5センチ。性別は不明。「うー」といっているような顔つきをしていることから「うきち」と命名。眼がよく動き、魚類にしては表情が豊かなので知能が高そうに見える。自分より小さい生き物はすべてエサと認識するため単独飼育が絶対条件。性格は難解で凶暴かつ繊細。食いしんぼうで、何か不快なことがあるとすぐすねる。好物はメダカと小型巻き貝。嫌いなものはイチゴとゴルフボール。
2016年2月現在、体長約12センチに成長。態度の方もこころなしかでかくなり、ちょっとめくさぐなった(当地の方言・意味:かわいくなくなった)模様。一説では寿命は数年といわれており、飼育7年目を迎える現在はいつお迎えが来てもおかしくない年齢なのか?
一部、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋


うきちレポート

淡水にフグ?

はい、淡水にもフグはおります。

熱帯魚屋さんにいくと、たまに淡水産のフグが売っています。
熱帯魚界ではとくにめずらしいわけではありません。
淡水フグの中にも、海水が混じる河口付近の汽水域にすんでいる種類と、完全に淡水域にすんでいる種類とがあります。
「うきち」は純淡水域に生息する種類です。
アフリカのコンゴ川から来ました。
なにげに熱い「アフリカン」な血がながれているファンキーなやつなのです。

得意技は?

砂にもぐることです。

野生では普段は川底に潜り、エサを待ち伏せたり、身を守ったりしているようです。
目と鼻と口が上部についているので、底に潜った際に非常に便利な配置になっており、一見ぶさいくには見えますが、実に理にかなった顔面になっております。
「うきち」もふつうは砂に潜っております。一日中潜りっぱなしの日もあります。
潜っているときはほとんど動かないので、彼が何を考えているのかまったく理解不能ですが、おそらく人生について彼なりの深い考察を行っているものと思われます。
時々、あまりに動かないので死んでいるのではないかと本気で疑うことさえあります。
いずれにしろ、「うきち」は砂に引きこもることが大好きなため、当研究所では、砂を常に清潔に保つことを心がけております

食べものは?

生きエサが好物ですが、「うきち」は人工飼料を食べてます。

このフグは、小魚、エビ、巻き貝などの生き餌を特に好み、人工飼料には非常に餌付けしにくいといわれていますが、なんと、「うきち」は人工飼料を食べてくれます。
生きエサの確保は手間もかかるし、かわいそうでもあるので、人工飼料を食べてくれる「うきち」は、食事に手のかからない、とても飼い主孝行なやつです。
エサは、肉食魚の栄養バランスを考え開発された「カーニバル」という小さいかりんとう状のもので、1日2〜3個ほどたべます。
どうやら、1回に充分な量を食べさせ、うんこがでるまでエサはあたえず、排便を確認してからエサをあげるのがコツのようです。
若い頃は1日10個ほどを食べていた時期もあったのですが、最近は高齢になったせいなのか、食は細くなってきました。
エサの変質を極力防止するため、当研究所では当面使用する量のみを薬の瓶(お百草丸の空き瓶)に小分けし、残りは冷蔵して保管しています。
お百草丸の瓶にエサが入っていることを彼は理解していて、腹が減っているかどうかはこの瓶を見せた時の反応で判断できます。
エサをねだる時は「うぉっ!それだ!それだよ、それをくれぃ!」という気持ちを全身で表現した「くれくれダンス」を踊り、空腹を激しくアピールします。
満腹のときは瓶をみせても完全にシカトしますので、エサをやるタイミングに関してだけは、非常にわかりやすいやつです。

いちご嫌い。

「うきち」は、いちごが嫌いです。

「うきち」は、いちごとゴルフボールを見せると、かなり動揺し、びびります。
いったいなにが怖いのか。
前世でいちごに噛み付かれたことがあるとか、ゴルフのプレー中にトラウマ級アクシデントに見舞われたとか、なにか彼なりに心に抱えた闇があるのでございましょう。
とにかく「うきち」としてはイチゴとゴルフボールの形状や色彩、模様等がかなり神経にさわる嫌な存在のようです。
砂に潜る種類のフグは一般に神経質であるとされていますので、ご多分に漏れず「うきち」もナイーブでデリケートな神経の持ち主なのでしょう。
時にはひどく驚いたことがきっかけで、白点病にかかることもあるそうです。
びっくりすると下痢をするといわれるゴリラなみの繊細さですね。
以上のことから、当研究所では「うきち」付近でいちごとゴルフボールを運用する際は、取り扱いに細心の注意を払っております。
もっとも最近では多少タフになったらしく、ぐっとアゴをひき、上目使いにガンを飛ばしてきます。
まるで80年代のツッパリ(死語)のようです。

ふくれた。

「うきち」は過去に、1回ふくれたことがあります。

海にいる普通のフグは、身の危険をかんじると胃に空気や水を溜め、お腹をふくらませることができますが、「うきち」はアミですくわれる程度ではふくれません。
海にいるハコフグという種類は、体を箱状の硬い皮膚で守っているためふくれることができないのですが、「うきち」もハコフグの形状に似ているので、ふくれない種類のフグなのかなと勝手に思い込んでおりました。
ところが2010年4月、突然体調を崩し、苦しんで暴れた際に、ぷっくりふくれて倒れてしまいました。
二重にびっくりしました。
まず、倒れたことにびっくり。
次に、ふくれたことにびっくり。
その後研究所の総力を挙げて治療にあたった結果、幸いにも不死鳥のごとく復活してくれましたが、あのときはマジで死んだかと思いました。
 

ふくれたうきち。所長、蒼白。

 
 

ちぢんだうきち。所長、涙目。

 

震災の時…

1週間の停電。ヒーターなし。

まだ肌寒い2011年3月11日、震災により約1週間ライフラインがストップしました。
平均気温は10℃以下。
電気が止まるとヒーターが使えず、適水温が25℃前後の「うきち」にとっては致命的。
魚にとって水温1℃の急変は人間でいうと気温10℃の変化に相当するという説もあります。
応急処置として水槽のまわりにホッカイロを貼り、水槽ごとクーラーボックスに入れ、保温を試みました。
それでも水温は15℃まで下降。
「うきち」はじっと砂に潜ったままでした。
正直、もうだめだと思い、その後はこわくて水槽を見れませんでした。
一週間後に電気が復旧した日、半ばあきらめ気味でクーラーボックスを開け、おそるおそる様子を確認してみると、「うきち」は急にのぞかれて驚いたようで、砂に埋まったままビクッと身を縮めました。
「生きてた…」
いつもと変わらない「うきち」の反応を見て、ほっと胸をなでおろした瞬間でした。


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