ど根性植物「たわし」日記
千葉写真館生物研究所内のたわしから突如出現した謎のクリーチャー、ど根性植物「たわし」。
それはいったいどんな植物なのか。
早起きに滅法強いが夜更かしには滅法弱い所長が、好奇心の赴くままにその解明に挑む!
研究所内に突如出現した謎のど根性植物「たわし」の研究
たわし Tawashi
たわし(仮称)
学名:Watashiha tawashi japonica gakushucyo(仮称)
2014年9月1日、研究所の台所内のたわし内部より突然発生。
歩道から突然顔をだして有名になった「ど根性大根」と同じタイプと思われる。
第一発見者は、所長の次女。
当初は、単にカイワレダイコンがたわしに挟まっているのではと思われていたが、詳細に観察したところ、どうやらたわしの中から何かが発芽しているらしいことが判明し、所長に通報。
かねてより、平泉・中尊寺の「古代ハス」に感銘を受けていた所長は、「ついにたわしが800年の眠りから覚め、芽を吹いた」と喜んでいたが、自身が世界的にも前例のない「たわしの栽培技術」の開発に全人類を代表してチャレンジすることになると気づき、マッド・サイエンティストの血がヒートアップ。決意もあらたに栽培に挑む。
たわし日記
発見
所長の次女が台所にて、たわしから何かが生えているところを発見。
所長に通報。
家族一同、大喜びで盛り上がるが、こいつをその後どうするかで議論。
結果、千葉家の「いきものがかり」である所長が自らお世話役をかってでる。
けっこう内部に根を張っており、しかも、非常にか細いぞ。
苗を抜くときにちぎれたり、折れたりする可能性が高い。
しかもどうやって土に植えるか、植えても育つのか、非常に不安。
所長が尊敬している みうらじゅん氏によると、なにか不安を感じていやな気分になってきた時は、
「不安タスティック!」(発音:ふぁんたすてぃっく!)と叫ぶと心が少し軽くなる、とのこと。
「俺、不安タスティ〜ック!」
2014.9.28.
あっというまに4週間経過。で、毛がはえた。
発見から4週間。所長の不安もよそに、なんだかんだで移植も成功し、現在すくすく成長中。
あんなひよわで、できそこないのカイワレみたいだったやつが。
おそるべき生命力です。
まさか本当に育つとは思っていなかったこともあり、この間写真を撮り忘れていました。
しかしものすごい成長ぶりです。
茎もふとくなり、毛がはえてきました。
わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい。
しかし、たくましいのはうれしいことですが、なんか、めんこぐ(訳:かわいく)なくなってきた感じ。
いったいどんな植物になるのでしょう。
〜28日の研究所定例会議の議事録より〜
所長「タワシになんか種つぐごどってあっぺが?」
(訳:タワシに何かの種が着くことってあるだろうか?)
家内「…カイワレなんじゃない?」
所長「…んだな。俺もそうおもう」
(訳:そうだな。私もそう思う)
「たわし2号」移植成功
発見した翌日、「たわし2号」をたわしからピンセットで慎重に引き抜き、植木鉢に植え替えました。
身長約25ミリ弱。体重不明。9/29日生まれだからこいつは天秤座です。
土のブレンドは「赤玉土(小粒)7:腐葉土3」に肥料「マグアンプK(中粒)」を規定量。鉢植え植物の育て方のノウハウは、別ページ観葉植物の育て方に無駄に詳しく書いてありますので、興味のある方は時間のたっぷりあるときにでもご覧ください。
見た目は元気そうなので、丈夫にすくすく育って欲しいものです。
2014.10.14.
たわし2号、生後16日目にしてミロのビーナス化
双葉の間から、芽がでてきました。
身長も35ミリを突破しそうです。
S字型に茎をしなっと曲げているのは、なにか意味があるのでしょうか。
所長が思いますに、これはミロのビーナスの美しいS字ラインを意識しているのではないかと。

生後16日目にして、ミロのビーナス。
おそるべし、「たわし2号」。

あえて抑制された美というものもあるのだよ。
やはり、まだまだお子ちゃまのようです。
生後26日目。すっかり植物らしくなってきた。
第1葉も順調に成育し、ますますしっかりしてきました。
人間でいえば、そろそろ幼稚園という感じでしょうか。
身長も50ミリに近くなってきました。
まだ苗と呼ぶには小さすぎ、「芽」という感じですが、いつも引っこ抜いている庭の雑草の芽と比べると、あきらかに大きいようです。
ライオンやトラは、赤ん坊の時から大人の猫ぐらいの大きさがありますが、さすがたわしの芽。
平均的な亀の子たわしのサイズが、大き目のみかんぐらいだとすれば、たわし2号もみかんの木ぐらいになってしまうのでしょうか。
だとすれば若干取り扱いに困るような気がします。
できれば植木鉢内で完結するサイズでいてほしい、と、勝手な思いを抱く所長でありました。
たわし2号、枯れる。
たわし2号が突然枯れてしましました。
原因は不明です。
まだ成長が十分でなかった時期に屋外で冷たい雨と強い風に当たったことによるストレスに、耐えきれなかったのかもしれません。
だとしたらもう少しいたわってやればよかったと思います。
申し訳ないことをしました。
非常に残念であります。
ショックのあまり、写真と記録を忘れてしまいました。
「たわし1号」初期の成長記録をとり忘れてしまった穴を埋めるべく遣わされた使徒のように、タイムリーに出現した「たわし2号」でしたが、今その役目を立派に果たし、再び天に帰って行きました。
ありがとう、「たわし2号」。
ということで、「たわし1号」に戻ります。生後44日目。
「たわし2号」が枯れてしまったので、時間を戻し「たわし1号」のレポートに戻ります。
「たわし1号」は、生後44日目にして、つぼみが出てきました。
1センチに満たない、ちいさい、白いつぼみです。
これがたわしの花なのでしょうか?
花が咲くということは、「たわし1号」はどうやら被子植物のようです。
被子植物ということは、実がなる可能性が大です。
実ということは、たわしがなるのでしょうか。
茎も相変わらず毛深いです。
これからどんな花が咲くのでしょうか?
たわしにしては、可憐なつぼみです。
ただし毛深いですが。(しつこい)
楽しみです。
「たわし1号」開花宣言発表。生後54日目。
続々とつぼみができ、花が咲いてきました。
本日、開花宣言を発表いたします。
桜の場合は、花が5つ咲いた段階で開花を宣言するそうですが、「たわし1号」はまだ2つしか咲いておりません。
若干フライング気味ですが、本来、ど根性植物は本質的に全員がフライング的要素が満載です。
人生自体がフライング。
いいですね。
なので開花宣言もフライングです。
花弁が不気味に反り返って、ちょっとこわい印象です。
子房もさらにふくらんできました。
これはもう中にちっこいたわしが入っているのは間違いないでしょう。
予想が確信に変わるのもフライング気味なようです。
結実、そして落下。生後70日目。
花が咲いた後に実が付き始めました。
いよいよたわしの実が結実か!
と、期待も高まっていたところ、なんと、実が落っこちてしまいました。
毛も生えておらず、まだぜんぜんたわしらしくありません。
もしやと思い割ってみたところ、内部はただの塊で、中にたわしは入っておりませんでした。
これから実の外部に毛が生えてたわしらしくなるのか、あるいは、この中にたわしが形成されてくるのか、現段階では不明です。
幸いなことに、花がまだ咲いておりますので、今後うまく実が成長することに期待したいところです。
もう冬ですので、「たわし1号」は室内で栽培しております。
すこしでかくなったなんかの苗、みないな体裁で、鑑賞にはまったく向かないようです。